MINECO作品

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本屋で何気なく手に取った、不思議な漫画。
それが、出会いでした。

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バーニーの絵日記 - 漫画 (初稿:2001/03/12, 最終更新:2001/03/18)

ある日、本屋をぶらぶらしていると、ねこがいっぱい描かれた、不思議な感じの表紙をした単行本が、棚に積まれていました。
何気なく手に取ったその本こそ、「バーニーの絵日記」、MINECO作品との出会いでした。

バーニー 18KB
バーニー
(本名、バーナード・マクレガー)
プエルトリコ系の黒人(黒猫?)
ねこさんだけが暮らすこの世界の、何でもない日常を描いたこの作品の主人公は、小学生のバーニー(本名は、バーナード・マクレガー)、プエルトリコ系の黒人(黒猫?)です。

バーニーは、第1話で、小学校の入学式を迎えるわけですが、ここで、絵日記を手渡されます。
「その日その日を、心に残ったことを、自由に表現してください」と、アル先生が云う通り、バーニーは絵日記をつけるわけですが、この絵日記を中心に、日々の生活が描かれています。

このバーニー、結構、家庭環境が特殊でして、弟のルーと、妹のリズの3人暮らし。
父親は船乗りで西の海に漁に出ていて長期不在、母親は画家でルーやリズが生まれる前に亡くなっていて、現在は、バーニーの家の隣に住む、童話作家のバータが、バーニーたちの面倒を見ています。

バーニーの入学式の日、ルーは「ひどいや、入学式までには、父さん、帰るって約束したのに」と泣くんですが、バーニーはそれを慰めます。
「・・・バーニー、寂しくないの?」「寂しい?まさか!」

入学式でもバーニーは、西の海で嵐があった噂話や、自分の親が来ていないのを、「気になんてするもんか」と、気丈に振る舞います。

夜、灯台に住むパパ・エイブを訪ねて、絵日記を描き始めるんですが、そこで初めて、バーニーは弱音を吐くんですね。
「・・・入学式に、親が来てくれなかったのは、僕だけでした」
「入学式までには、必ず帰ってくるって、父さん、約束してくれたのに・・・」
「ただ、父さんが、西の海に漁に出てから、もう一ヶ月になるのに・・・、何の連絡もなくて・・・」
「母さんも死んでしまって、この上、父さんになにかあったら、僕は・・・」

この状況が、なんとなーく私の小さい頃に被ってですねー。
いや、両親も健在ですし、兄弟もいませんし、バーニーみたいに気丈でも無かったんですけど(笑)。

私の父親は船乗りで、家にいない事が多かった(昔は、何ヶ月も航海に出てたらしいですが、私が生まれてから、会社を移って、1回の仕事がせいぜい数日で済むようになったそうで。親父、感謝してるぜ)し、母親は病弱で、週に3回は病院に通って人工透析(血液を機械にかけて、余分な水分と毒素を除去し、また体内に還す作業)をしてたもんで、幼稚園児の頃は、父親の知人宅で母親の透析が終わって、迎えに来るのを待ってたんですよ。
当然、幼い時分から、母親の死とか意識してる訳で、母親の迎えが遅れると、そりゃもう、大泣きでしたよ(笑)。何かあったんじゃないか、ってね。

バーニーは偉いなぁ。私はルーみたいに、ただ泣くだけだったもんなぁ。

一見、ねこだけの、ほのぼのした世界に見えるんですが、第5話でのバーニーのセリフが、実は、重い世界の果ての話だと分かります。
「僕達が生まれるより、ずうっと昔の話だけどね」
「この世界は、戦争で一度死にかけたんだって」
「全てを失って、人々は初めて、本当に大切なものが何かを知ったんだ」

作者のあとがきにも、この作品の世界についての記述があります。
人種差別とは無縁な、穏やかに暮らしているねこたちのように、何故我々も暮らせないんだ、と、この作品は訴えているのかも知れません。

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